今年最後の発達相談にお越したいだきました。ゆずが発達相談を実践するのは「子育ては面白い」を実感してほしいから。

先週末の土曜日、今年最後の発達相談に2組のご家族がご来所されました。

お一人目は、最近お子さんの診断がつき「本当にそうなのだろうか」と悩んでおられるご夫婦でした。

本当に診断通りなのかと不安に感じることは、親として当然のことです。

「発達検査の時は、たまたま上手くできなかっただけかも?」「普段はそんな様子は見られないのだが」と、診断がつくことが青天の霹靂であることは多々あります。

 

もちろん、発達検査を実施した結果などから、医師が判断するものなので、私がその診断が「正しい」とも「正しくない」とも言えないのは当然です。

しかし、不安そうな親御さんを見ていて、こう思うことがあります。

それは、「診断をつけるにしても、もう少し丁寧に、そして何より保護者の気持ちに立って、優しく分かりやすく説明する必要があるのではないか」ということです。

私も経験がありますが、病院勤務時代は、患者さんが入院することは、日常の当たり前の光景でした。

でも、我が子が入院した時に「入院という作業」がどれだけ体にも気持ちにも負担となることなのか、ということを痛感しました。

そして、その時に優しく声をかけてくれた看護師さんの笑顔が、不安な状況の中で、どれだけ救いになったか上手く説明できないくらいです。

 

医療関係者や療育関係者にとって「発達障害の診断がつく」ということは、普段良く経験する単なる通過点でしかないかも知れません。

しかし、保護者にとっては、それはものすごいプレッシャーであったり、必要以上に将来を悲観することにもつながる出来事なのです。

だからこそ、丁寧に、優しく気持ちに寄り添って十分に説明がなされるべきだと思うのです。

もちろん、業務として考えるなら、「一人の人に、そこまで時間はかけられない」という事実もあると思います。

しかし、特に最初のところ(診断が付くというところ)は、丁寧すぎるくらいでちょうどいいのです(いや、それでも不十分かもしれません)。

「診断が付いた後でも、我が子を愛おしく想い、子育てを楽しんでもらう」ことへ繋げることが何より大切になります。

そのため、最初に立ちはだかる壁(診断が付くということ)は、できるだけ低い方がいいのです。

入院して不安な状態の時、看護師さんの笑顔が支えになるのと同じように、診断の際にも(わずかであっても)希望が見えるような、勇気づけができるような説明がなされることが大切だと思います。

医師が忙しいなら、ワーカーさんでも、心理士さんでもいいと思います。診断後のフォローまでする時間的・人的余裕がなければ、他にそれができる場所が必要です。

私が、ゆずで発達相談を大切なサービスの一つに入れているのは、「不安な気持ちを、これからの子育ての勇気に変えるお手伝いをしたい」からに他なりません。

 

冒頭のご夫婦には、その視点から、「診断の有無も大切かも知れないが、それよりもっと大切なことは、お子様の困りごとを評価し、日常の中での工夫や方法を考えていくこと」と言うことをお話させていただきました。

また、「子どもは、お父さん、お母さんが大好きなので、ぜひご夫婦で力を合わせて、明るく家庭生活を継続してください」とお願いしました。

「診断が本当に正しいのか?」と疑問に思うということは、「我が子のことを大切に思っている証拠」です。

その気持ちを認めながら、応援していくことが、発達相談の担当者の大命題だと思います。

 

お二人目は、お母様がご来所されました。

言葉の遅れがあるお子様ですが、健診などで色々と不安なことを聞いて悩んでいる、ということでした。

乳幼児健診の場でベテランの保健師さんに心無い対応をされた経験をお持ちとのことでした。

 

健診の場ではこういったことはよく見られる風景です。

「○○が難しいですね」「△△が苦手ですね」など、できないことを色々指摘されることが多いです。

健診だからそれで普通なのかも知れませんが、やはり気配りが足りずに、保護者の方の不安を煽ってしまうことにつながってしまいます。

もちろん、誰も悪気があってそう言っているのではない、ということは百も承知ですが、ちょっとした気配りで、印象は随分違うものなのです。

特にベテラン(に見える)の保健師さんなら、より内容に信憑性が増します(もちろんそうとも限らないこともあると思いますが)。

 

健診という流れ作業だから仕方がないといえば、それまでですが、これまでゆずを運営してきて実感するのは、「乳幼児健診を卒業試験のように感じている」保護者の方が多いということです。

つまり、クリアすることに最大の目標を置いてしまう、のです。

でも本来、健診というものは、子どもの発達状況を適切に判断し、なにか気になることがあれば、「経過を見る」「専門機関の受診を勧める」など、子どもにとって最も適切な方法を考えることにあるはずです。

それが、合格するかどうか、に注目されるということは、健診でなにか問題があれば不合格というレッテルを貼られるのではないか、と感じている保護者が多いということです。

だからこそ、健診の場においても、不安な保護者の気持ちを理解し、十分な説明や心配り、丁寧な言葉で説明することなどが求められます。

 

お二人の保護者のお話を伺い、「丁寧に説明することの大切さ」「不安な気持ちに寄り添うことの大切さ」を再認識することができました。

そしてそれは、ゆずが最も大切にしてきたことでもあります。

 

これからも、不安がある保護者の味方として、「ずっと寄り添う」を実践していきたいと思います。

 

不安な気持ちでいっぱいのお父さん、お母さんに「前より、もっと、我が子が愛おしくなった」と思ってもらえるように。

そして、いつか「子育てって、楽しい!」と思ってもらえるように。