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訪問レッスンのご依頼で、家庭訪問をしてきました~生活場面にセラピストが関わるという重要性について~

体の不自由なお子様(肢体不自由児の男の子)のママさんからご依頼をいただき、訪問レッスンに行ってきました。

レッスンという名目ですが、実際にはお子様の様子を拝見するのと、お子様の能力を引き出すための環境設定です。

このお子さんは、体幹や首の座りがまだ不十分なため、自分でお座りをすることがまだ難しい状態です。

写真に写っているような専用の椅子に座らせてあげ、胸のベルトを止めてあげることで、安定した座位が行なえます。

そんな状況のお子さんですが、ママさんによると、最近自分の力でずり這いを始めたとのことで、「もっとこの能力を伸ばしてあげるには、どんな取り組みがいいのでしょうか?」というご質問がありました。

 

そこで、私がいつも発信している「子どもは体を移動させたいから、移動するのではなく、そこに行きたいから、移動しようとし始める」ということについて、具体例を挙げて、お伝えしました。

例えば、「ママのところに行きたい!」という気持ちがあるからこそ、そこへ行こうと体を動かしますし、少し離れたところに、どうしても触りたいおもちゃがあるからこそ、なんとかそれを触ろうとして、体を動かします。

そして、色々ともがく内に、ずり這いという方法を(偶然に)見つけ出していくのです。

だから、ママさんができることは、お子様の好きな(関心がありそうな)おもちゃや、本などを上手く使って、お子様が自ら動き出すような環境を設定して、後は待つことです。

もし、待っても、自分から動けないようであれば、少しだけ動くお手伝いをしてあげるのも効果的です。

このようなことをお伝えしました。

「何か、彼の好きなおもちゃで動きが出るように誘導してみてください」とお伝えしました。

ママさんは、それなら、とお兄ちゃんが好きだった、音の出る電車のおもちゃを出して、彼の周りを手で動かして見せました。

彼は、はじめ仰向けに寝た状態で、電車を見ているだけでしたが、自分の頭の方に電車が移動し、見えにくくなった時、自分でクルッと回って、うつ伏せになりました。

ママさんが、そのまま電車を彼から少しずつ離れるようにしていくと、少しもがきながらも体で電車を追いかけはじめました。

漠然とできはじめていた「ずり這い」という動作が、「電車を追いかける」という目的のある動作になったのです。

彼自身、動けることが嬉しかったのか、その後しばらく(もがきながらも)ずり這いで電車を追いかけようとしました。

ママさんは、「ずり這いをし始めたとは思っていたけど、こんなに長い時間できるなんて思わなかった!」と彼の持っている力に驚かれていました。

 

さて、実はこういった取り組みは、私たちセラピストと呼ばれるリハビリの専門家(理学療法士や作業療法士、言語聴覚士など)が、ご自宅に伺うからこそ、できることです。

病院のリハビリ室や療育施設のリハビリ室では、自宅と同じような環境を再現することはできても、自宅とはやはり状況が違います。

好きなおもちゃ、家族の声が聞こえる環境、何より「僕の家!」という安心感。

誰でもそうですが、「我が家」と「出先」では気持ちからして違います。

 

だからこそ、専門家が生活の中の課題を生活の中で評価し、生活の中のものを使って取り組む方法を考えること。

これが、お子様の能力を最大に引き出すために、大切なことです。

つまり、外来療育だけでは、不十分なのです。

 

けれど、療育機関では、外来療育は行なっても、家庭生活に根ざした療育はほとんど行なわれていません。

療育機関側の理由として、・人手が足りない、・経費がかかるので非効率、・そもそも生活の中への関わりが重要だということを知らない、などがあります。

セラピスト側の理由には、そういった関わりができない(生活を評価すること自体ができない。何をしていいか分からない)ということがあげられます。

 

実は、セラピストにとって、生活場面の中で、お子様の問題を評価し、自宅でできる取り組みを提案することは、難しいのです。

外来療育に通所してもらい、40分という療育時間の間、プログラムを実施している方が簡単なのです。

 

これらの理由から、生活の中へセラピストが関わっていく、ということがおざなりになっているのが現状です。

 

 

生活の中での課題は、生活の中で評価し、生活の中でプログラムを考える。

そしてお家でもできる取り組み方法を提案する。

これが本当にお子様を伸ばす取り組みです。

 

最後に、もうひとつ大切なこと。

それは、「たまに手を抜く」です。

「今日くらい、まあ、いいか!」

たまに手を抜くことは、心の栄養です。

人間ですからね。

 

ご依頼をくださったママさん、ずり這いの秘めたる力を見せてくれた◯◯くん、ありがとう。